表紙を飾るのは

2001年11月9日

さて、今回は前回の反動で更新が早いです。(そういう問題なのか?)
前回で神坂一さんの新作「クロスカディア」が売れるのではないか、と書きましたが、 なんと私自身が クロスカディアのファンサイト を作り始めてしまいました。(汗)

我ながらあきれて物も言えない状態なのですが、 折角の機会ですから、 ここで「クロスカディア」に至るまでの角川・富士見系ライトファンタジーの流れを 「富士見ドラゴンマガジン」「角川ザ・スニーカー」の2誌が組んだ巻頭特集から振り返り、 「クロスカディア」は売れるのか?を検討して見たいと思います。
ちなみにこれは作品をどうやって売るか、を見るのであって、 作品の内容については一切考えないのであしからず。

まず、上記2誌の1997年6月号から2001年12月号までで、 巻頭特集が組まれた作品を列挙してみました。
(どうして1997年6月号からかと言うと、それしか私の手元にないからです。)

富士見ドラゴンマガジン&角川ザ・スニーカー巻頭特集作品
(1997/6〜2001/12)
富士見ドラゴンマガジン 角川ザ・スニーカー
年/月 巻頭特集作品 年/月 巻頭特集作品
1997/5 (不明) 1997/6 ルナル・ジェネレーション
1997/6 (数作品)
1997/7 魔術士オーフェンはぐれ旅 1997/8 MAZE☆爆熱時空
1997/8 新世紀エヴァンゲリオン
1997/9 スレイヤーズ&
天地無用!魎皇鬼
1997/10 闇の運命を背負う者
1997/10 新世紀エヴァンゲリオン
1997/11 あかほりさとる作品 1997/12 多重人格探偵サイコ
1997/12 (数作品)
1998/1 魔術士オーフェンはぐれ旅 1998/2 新ロードス島戦記
1998/2 あかほりさとる作品
1998/3 ロスト・ユニバース
&スレイヤーズ
1998/4 妖怪寺縁起
1998/4 (数作品)
1998/5 サイレントメビウス 1998/6 (数作品)
1998/6 魔術士オーフェンはぐれ旅
1998/7 魔法戦士リウイ 1998/8 源平伝NEO
1998/8 ロスト・ユニバース
&スレイヤーズ
1998/9 スレイヤーズ 1998/10 カルシファード青嵐記
1998/10 魔術士オーフェンはぐれ旅
1998/11 魔法戦士リウイ 1998/12 闇の運命を背負う者
1998/12 セイバーマリオネットJ
1999/1 魔術士オーフェンはぐれ旅 1999/2 多重人格探偵サイコ
1999/2 魔術士オーフェンはぐれ旅
&セイバーマリオネットJ
1999/3 スレイヤーズ 1999/4 ゴクドーくん漫遊記
1999/4 魔術士オーフェンはぐれ旅
&セイバーマリオネットJ
1999/5 (数作品) 1999/6 ロードス島戦記
1999/6 フルメタル・パニック!
1999/7 魔術士オーフェンはぐれ旅 1999/8 トラブルシューター
シェリフスターズ
1999/8 魔法戦士リウイ
1999/9 (数作品) 1999/10 なし(表紙はラグナロク)
1999/10 スレイヤーズ
1999/11 魔術士オーフェンはぐれ旅 1999/12 ラグナロク
1999/12 フルメタル・パニック!
2000/1 魔法戦士リウイ 2000/2 トラブルシューター
シェリフスターズ
2000/2 スレイヤーズ
2000/3 魔術士オーフェンはぐれ旅 2000/4 新ロードス島戦記
2000/4 召喚教師
リアルバウトハイスクール
2000/5 サクラ大戦 2000/6 富野由悠季作品
2000/6 フルメタル・パニック!
2000/7 スクラップド・プリンセス 2000/8 ラグナロク
2000/8 魔法戦士リウイ
2000/9 トライゼノン 2000/10 トラブルシューター
シェリフスターズ
2000/10 フルメタル・パニック!
2000/11 エンジェル・ハウリング 2000/12 ラグナロク
2000/12 スクラップド・プリンセス
2001/1 (読者人気投票) 2001/2 月と闇の戦記
2001/2 ザ・サード
2001/3 フルメタル・パニック! 2001/4 (若手作家作品)
2001/4 魔法戦士リウイ
2001/5 スクラップド・プリンセス 2001/6 水野良作品
2001/6 フルメタル・パニック!
2001/7 召喚教師
リアルバウトハイスクール
&フルメタル・パニック!
2001/8 ラグナロク
2001/8 エンジェル・ハウリング
2001/9 召喚教師
リアルバウトハイスクール
2001/10 月と闇の戦記
2001/10 魔法戦士リウイ
2001/11 フルメタル・パニック! 2001/12 ラグナロク
2001/12 スクラップド・プリンセス

懐かしい作品から、今をときめく流行作まで出てきますが、 これを見ているとなかなか色々と面白いことが見えてきます。
ぱっと見た目に目立つのはドラゴンマガジンの「魔術士オーフェンはぐれ旅(以下、オーフェン)」と、 ザ・スニーカーの「ラグナロク」が集中的に特集を組まれていることですね。
また「オーフェン」の特集が姿を消し、「ラグナロク」の特集が現れ始める時期はほぼ一致しています。 そこで「オーフェン」の最後の特集が組まれた2001年3月を境に、 その前後でどの作家、どの作品が何回特集を組まれているかをまとめてみました。

作者別巻頭特集回数(1997/6〜2000/3)
富士見ドラゴンマガジン 角川ザ・スニーカー
秋田禎信
(魔術士オーフェンはぐれ旅)
10 神坂一
(闇の運命を背負う者、
トラブルシューター・
シェリフスターズ)
神坂一
(スレイヤーズ、ロスト・ユニバース)
友野詳
(ルナル・ジェネレーション、
カルシファード青嵐記)
あかほりさとる
(セイバーマリオネットJ)
水野良
(ロードス島戦記/伝説)
水野良
(魔法戦士リウイ)
あかほりさとる
(MAZE☆爆熱時空、源平伝NEO)
賀東招二
(フルメタル・パニック!)
大塚英志
(多重人格探偵サイコ)
中村うさぎ
(ゴクドーくん漫遊記)
冴木忍
(妖怪寺縁起)
安井健太郎
(ラグナロク)
作者別巻頭特集回数(2000/4〜2001/12)
富士見ドラゴンマガジン 角川ザ・スニーカー
賀東招二
(フルメタル・パニック!)
安井健太郎
(ラグナロク)
榊一郎
(スクラップド・プリンセス)
水野良
(ロードス島戦記/伝説)
水野良
(魔法戦士リウイ)
森岡浩之
(月と闇の戦記)
雑賀礼史
(召喚教師
リアルバウトハイスクール)
富野由悠季
秋田禎信
(エンジェル・ハウリング)
神坂一
(トラブルシューター・
シェリフスターズ)
あかほりさとる
(サクラ大戦)
星野亮
(ザ・サード)

どうです?
なかなか見事に両誌とも傾向が変わったのが分かるでしょう。(笑)

1997年5月以前のデータがないのは残念ですが、 「オーフェン」と「スレイヤーズ」の立場が入れ替わるくらいで、 1997年6月から2000年3月と傾向はほとんど同じだと思います。 1990年代後半のドラゴンマガジンを制覇したのは 神坂一さんの「スレイヤーズ」と秋田禎信さんの「オーフェン」であり、 これにあかほりさとるさんの諸作と水野良さんの「魔法戦士リウイ」、 それに「天地無用!魎皇鬼/魔法少女プリティサミー」で巻頭特集をほぼ独占していたのです。
一方そのころのザ・スニーカーは、やはり神坂一さん、あかほりさとるさん、水野良さんといった 人気作家の特集が多かったとは言え、他の作家さんの作品もちょくちょく取り上げていました。

しかし1998年夏に相次いで連載が開始された 賀東招二さんの「フルメタル・パニック!(以下、フルメタ)」と安井健太郎さんの「ラグナロク」が読者の支持を集め、 翌年に両作の巻頭特集が始まると、図式は大きく変わります。

特にザ・スニーカーは、ドラゴンマガジンのように少数の作家さんに特集の対象を絞るようになりました。 以前に、「ラグナロク」が角川スニーカー文庫の傾向を変えたと書きましたが、 ザ・スニーカー誌の特集のやり方さえも「ラグナロク」は変えてしまったように見えます。
上遠野浩平さんの「ブギーポップ」がそれ以降の電撃文庫に与えたインパクトと同等か、 それ以上の変化と言ってよいでしょう。

ドラゴンマガジンの方では、2000年3月に「オーフェン」の短編連載が終わり、 5月に「スレイヤーズ」の本編が終了すると、 以後2001年12月にいたるまで「オーフェン」「スレイヤーズ」とも特集が1回もなく、 また他作品についても、かつてのような極端な集中特集は組まれなくなりました。 今は「フルメタ」「魔法戦士リウイ」と 榊一郎さんの「スクラップド・プリンセス(以下、棄てプリ)」、 雑賀礼史さんの「召喚教師リアルバウトハイスクール(以下、リアルバウトハイスクール)」の4作が ローテーションを組んで、その合間に他の作品、 例えば秋田禎信さんの「エンジェル・ハウリング」を入れるような状態になっています。
このうち「魔法戦士リウイ」と「リアルバウトハイスクール」の2作は TVアニメ版の放映終了で特集回数がぐっと減るでしょう。 2002年は「フルメタ」「棄てプリ」が特集回数を競うことになりそうです。

さてさて、それでは「クロスカディア」はどうなんだ?という話に戻りましょう。
ずばり、結論。

「ドラゴンマガジン誌上で連載するかどうかで、『クロスカディア』の未来は決まる。」

なぜそんなことを言うのかといいますと、 上の表を見ていて「ドラゴンマガジンでは、連載作品でないと巻頭特集が組まれない」 ことに気付いたからです。
例外は、TVアニメ化時の「ロスト・ユニバース」と極めて大きなヒット作であった「エヴァ」ですが、 この2作にしても特集が組まれたときにRPGリプレイや、シナリオの連載をしていたので、 ドラゴンマガジンは事実上「連載作品でない限り巻頭特集は組まない」のです。

がーん。

神坂一さんはいまだドラゴンマガジンで「スレイヤーズ」の短編を連載中であり、 「クロスカディア」の方は今のところ連載予定の情報がありません。 ということはページ開設は勇み足だったのでしょうか?(笑)

さらに言うと、 神坂一さんの人気は「スレイヤーズ」本編終了後振るっていないことも心配です。 なにしろ2000年4月〜2001年12月で巻頭特集が組まれたのはわずか1回。
この状況を打破してもう一度天下を取るためには、 「クロスカディア」の富士見ファンタジア文庫/ドラゴンマガジンでの 「書き下ろし長編+連載」が是非とも必要ではないでしょうか。

恐らく富士見書房(=角川書店)は、ある程度安定した利益を上げられる「スレイヤーズ」を 今しばらく続けようという魂胆なのでしょうが、 「スレイヤーズ」と「クロスカディア」の両方をヒットさせようというせこい手は使わず、 「クロスカディア」に掛けて欲しいものです。

え?たとえ「クロスカディア」が良い出来でも、 神坂一さんが「スレイヤーズ」の短編を書き続けたかったら、 「クロスカディア」の連載はあり得ないのではないかって?
ふっ、甘いですね。
売れるものは売るのが角川のやり方。 そこに作家の自由意志が介在する余地などない!(待てぃ。言ってることが変わったぞ。)

そんなこんなで、程良くまとまらなくなってきましたので、今回もこの辺りで失礼をば、いたしまする。

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