『幽艶花』あらすじ編

2003年8月29日

以下は茅田砂胡さんの同人誌『幽艶花』のあらすじです。 本当はもっと複雑なストーリーで、登場人物も多いのですが、書いて行くときりがないので割愛いたします。

なお、これから『幽艶花』を読もうとされている方にとってはネタバレになりますのでご注意下さいませ。

小国トルーディアの都コモを二人の若者が訪れる。 一人は荒れ放題の黒髪を銀の額冠でまとめた浅黒い肌の精悍な戦士ロムル。 もう一人は艶やかな長い黒髪に透き通る肌の麗人、ペンタスの第六王子リシャール。 しかし二人の正体は大国デルフィニアの王子、小次郎と 彼の命を狙っていたはずが、今は彼に従う身となったファロットの刺客、サラであった。 勇猛果敢にして公正無私な小次郎は人望が厚く、次期国王とも言われているのだが、 国内の政争に嫌気がさし、お忍びで出奔していた。

コモの街は自国の王女セフィアナと、大国サンセベリアの第二王子カザルスの婚約発表を控えて賑わっていた。 しかし二人は路地裏で出会った男から奇妙な依頼を受ける。男はトルーディアの重臣であった。 そして病床のセフィアナ姫の代役としてサラに婚約式に出て欲しいというのである。

なし崩し的に依頼を受けてしまったサラ。 一方、街をぶらついていた小次郎は、デルフィニアから追いかけてきた親衛隊長シーヴェスに見つかってしまう。 シーヴェスを追い払おうとする小次郎。 しかしシーヴェスはサラが女装して婚約式に出ると知ると 「こんな面白いものを見ないでいられるか」とコモの街に居座ってしまった。

王宮でセフィアナ、重臣の令嬢サルヴィアと共に過ごすサラ。 サラはセフィアナが病弱などではなく、重臣たちに毒を盛られていることに気付く。 しかしセフィアナは静かにサラに語りかける。 「病弱な自分は王宮から出ることもできない。でも一人だけ私を外に連れ出してくれた人が居た。 父の亡くなる前に、ティリヤという侍女が私を花畑に連れていって、花の冠を作ってくれた・・・」 ティリヤは以前サラが侍女としてトルーディア王宮に潜入していたときの偽名だった。 サラは重臣たちの依頼により、ファロットの刺客としてセフィアナの父王を暗殺したのだった。

一方、カザルスの兄、大国サンセベリアの第一王子オルテスは、 弟の婚礼のためにトルーディアを訪れてから、セフィアナ王女の様子がおかしいことに気付いていた。 何か起こるに違いない。 オルテスはいざという時にトルーディアに攻めこめるように、国境に軍勢を隠していた。

サラは重臣たちの陰謀を確信し、小次郎に打ち明ける。 重臣たちは国王を暗殺しただけでなく、 今度はセフィアナを政略結婚させた後に毒殺し、大国サンセベリアの下で実権を握ろうとしているようだ。 セフィアナが予想以上に衰弱してしまいサラを代役に立てたのは計算違いだったが、 婚約式が終わったら事情を知っているサラと小次郎は始末されることになるだろう。 「迷うこたあねえぞ」 小次郎、サラ、シーヴェスは婚約式をぶち壊すことにした。

寺院で形式的な婚礼の儀が行われた後、王宮で豪華な披露宴が開かれた。 そこに颯爽と貴公子が現われる。正装したロムルであった。 そしてあろうことかセフィアナは婚約者のカザルスになど目もくれずロムルに一緒に踊ることを乞う。 ロムルも頷いて大胆にもセフィアナ王女と踊り始める。 唖然と見守るトルーディアとサンセベリアの人々。 一方、シーヴェスは人々の間で噂を振りまいていた。 「あれはロムルなどという男ではない。デルフィニアの王子、小次郎だ」 そしてそのころオルテスは、王宮に潜ませていた間者からセフィアナが偽者であるという情報を掴んでいた。

一旦王宮の奥に戻ったサラの手には花が抱えられていた。 ティリヤがセフィアナを連れ出して、冠を編んだあの花だった。 その手を取ってセフィアナは言う。 「ティリヤ。この国をあなたにあげる。でも、あの人たちを許さないで・・・」

動揺が走るトルーディアの王宮。 重臣たちは慌てて小次郎とサラを捕らえようとするが、二人はどこにもいない。 そんな混乱に追い討ちを掛けるような知らせが入ってくる。 「トルーディアは偽者のセフィアナ姫を使って婚礼をでっちあげようとした」 と、サンセベリアの軍勢が王宮に攻め入ってきたのだ。

乱戦となった王宮内で小次郎、シーヴェスとセラは二手に分かれて重臣たちを一人また一人と倒していく。 小次郎とシーヴェスは一度サンセベリアの軍勢に囲まれてしまうが、 小次郎と対峙したオルテスは「この男を敵に回すのはまずい」と悟り、包囲を解いた。

サラはサルヴィアの父、トレグ伯爵を追っていた。 伯爵は秘密の抜け道を使って必死に逃げる。 しかしファロットの刺客サラから逃れられる訳がない。追い詰められた伯爵は叫ぶ。 「わしは国王の実の弟だ!セフィアナが死ねばわしが国王だ!」 次の瞬間、伯爵はサルヴィアに刺されていた。 サラの後ろから追いかけてきたサルヴィアは、父の陰謀を知って自分を失っていた。 返す刃で自分の喉を刺し貫こうとするサルヴィアをサラは押し留める。 「死なせて下さい」と言うサルヴィアに、追いついてきた小次郎が語りかける。 「お前がこの国を立て直すんだ。それがセフィアナへのはなむけだ」

ついにトルーディアの王宮はサンセベリア軍により陥落した。 一番奥の部屋に足を踏み入れたオルテスとカザルスを出迎えたのは、 敷き詰められた花の中に静かに横たわるセフィアナだった。 二人の王子は安らかに息絶えた王女の前にひざまずいた・・・。

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