SF大会に行って参りました

一歩さんの HAMACON2 (第44回SF大会) アフターレポートリンク集もどうぞ。

2005年7月24日

 7/16〜17の 第44回日本SF大会 HAMACON 2 にお邪魔して参りました。 とても楽しかったです。 参加された方、運営・企画された方、お疲れ様でした。

 今回はその「第44回日本SF大会」についての簡単なレポートです。

 実は私は「第44回日本SF大会」に参加する予定ではありませんでした。 しかし直前に「まいじゃー推進委員会」の極楽トンボさんがパネリストとして参加されるというので 「まぁ、では他にどんな企画があるのかしら」と調べてみると、 おおう、ライトノベル関連の企画が沢山あるではありませんか。
 参加費は高いですが、これは行かないと後悔すると考えて、企画のスケジュールをメモにとり、 週末の更新作業を金曜日夜〜土曜日未明に済ませ、 朝を待って病院と郵便局に飛びこんで用事を終え、新幹線に飛び乗って会場へ。

 会場に着いたのは16日の14時頃。 受付で名札に「ぎをらむ」と書いていたら、 受付のお姉さんが「あ、【FANTASY Bookmark】でお見かけした方ですね」と言われました。 やるな、お姉さん。
 割りとスムーズに手続きを終えて入場できましたが、 あとから聞いたところでは、朝のうちはかなり混乱があったそうです。

 時間の都合上どうしようもなかったですが、16日正午からの[ライトじゃないファンタジーが好き!]は 聞いてみたかったですね。
 14時からだと[拝啓ファンタジスト様 ]と[電撃文庫の15年を振り返って]の2企画がライトノベル関連だったのですが、 桜坂洋さん、桜庭一樹さんが出られる14時半からの[サイン会3]とも重なっていました。 う〜体が3つ欲しいですわ。
 悩んだ末に[サイン会3]を優先し、 それが済んだら途中から[電撃文庫の15年を振り返って]に出ることにしました。

[サイン会3]16日14時半〜15時半
 桜坂洋さん、桜庭一樹さんからサインを頂きました。
 前の[サイン会2]がなかなか終わらず、窓際の椅子に座って待ちました。 隣には黒猫のぬいぐるみを抱いたダンディなおじさまが座られていました。
 開始時刻になっても[サイン会2]が終わりそうにないので、 横の机で[サイン会3]を始めることになったらしく、作家さん方が呼ばれだしました。 スタッフの方の「桜坂さん」という声に応えて私のすぐ傍にいた黒のブレザーの男性が前へ。 をを、全然気付きませんでしたわ。(汗)
 [サイン会3]は始まりの合図もなにもなしで、気付いた人から並び始めました。 私は一番近い桜坂洋さんの列へ。 と、私の直前の人がなんと、るりあ046さんで、桜坂さんの方が驚いていました。いきなり名刺交換が始まったり。 桜坂さんは動揺されていたようで、私が出した「All You Needs Is Kill」にサインを下さった時は 「今日は何日でしたっけ?」とボケて下さいました。
 次に桜庭一樹さんの列に並んだのですが、桜庭さんの横の机には先ほど私の隣にいたダンディなおじさまが。 あの人作家さんだったんだ!(汗)このおじさま、倉阪鬼一郎さんという方で、 黒猫のぬいぐるみはミーコ姫というのだそうです。
 桜庭さんからは「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」と「推定少女」にサインを頂きました。 驚いたことに桜庭さんは私の名札に気付かれると、 私のコラム「少女たちの通過儀礼」を読まれた感想を聞かせて下さいました。(感激です!)
 桜庭さんにお礼を言って列を出ると、やはり桜庭さんの列に並んでいたタカアキラさんにお声を掛けられました。 と、タカアキラさんの前に並んでいるのはなんと富士見ファンタジア文庫編集長のK氏!(←注:実話です。) 何故ファンタジア文庫編集長が桜庭一樹さんのサインをもらう必要があるのですか!? 私はあまりの脱力感にその場に崩れ落ちました。

[電撃文庫の15年を振り返って]16日14時〜15時半
司会:浅井ラボさん(何故!?)、出演:成田良悟さん、上遠野浩平さん、中里融司さん、 葛西伸哉さん、榊一郎さん、米澤穂信さん (だと思うのですが、途中から入って一番後ろで聞いていたので、確信なし。)
 どうも最初は別の方が司会をされていたようですが、 飛び入り参加の浅井ラボさんが途中から成り行きで司会になったらしいです。
 かつて電撃の新人賞授賞式で上遠野浩平さんが『作家なんてなるもんじゃねーよ』とつぶやいたことがあるとか、 高畑京一郎さんとおかゆまさきさんは作品が同時に雑誌に掲載されることがないので 『高畑京一郎さん=おかゆまさきさん、同一人物説』があるとか、そんなお話でした。
 浅井ラボさんは派手なジャケットを着られていましたが、 実は古橋秀之さんデザイン、高瀬彼方さん製作の「特攻服」なのだそうです。

 途中から入る場合、前の方の席には行きづらいので、 この後の企画は開演の20分ほど前から良い席に陣取っておくことにしました。

[サクラ対戦 〜〜桜坂洋×桜庭一樹〜〜]16日16時〜17時半
司会:勝木弘喜さん(LNF代表)、出演:桜坂洋さん、桜庭一樹さん
 司会の勝木さんだけでなく、会場の準備とオペレーションもLNFのスタッフの方がされていました。 会場は60席だったと思うのですが開演前に満員になり、 立ち見でも入りきらなくなってロビーまで人があふれていました。 もっと大きな会場の方が良かったですね。勿体ないです。
 桜坂さんは「よくわかる現代魔法」の一ノ瀬弓子クリスティーナの等身大立て看板とともに入場。 なんと桜坂さん自身が作られたそうです。
 私の隣の隣に座られた和服の方が「スーパーダッシュ文庫の編集長も来られている」と言われていましたが 本当でしょうか。太田出版の方は桜坂さんが紹介されていましたが。
 関係ないですが富士見ファンタジア文庫編集長のK氏も途中でちらっと覗きに来られていました。
 桜坂さんが桜庭さんと最初にお会いした時に最初に聞いた事は「メガネは好きですか!」だったとか。 最後に一言コメントを求められた時も桜坂さんが「コンタクトは死ね!」と叫んで、桜庭さんがズッコケていました。
 桜坂さんは新人賞作品はほとんど読まれていて、 他の作家さんと会われる時はデビュー作を忍ばせて行って、ここぞというタイミングで持ち出すのだそうです。 ちなみに高瀬彼方さんに幻のデビュー作を差し出した時は、高瀬さんから「その本は燃やして下さい」と 言われたとか。
 桜庭さんの「自分の『地方都市からより広い外へと脱出していくテーマ』と、 桜坂さんの『生ぬるいユートピア集団から一歩踏み出すテーマ』が似ている」という発言が興味深かったですね。 そして桜庭さんのテーマは今後もどんどん変わっていくだろうとのことです。
 桜坂さんは「ライトノベルの幅が広がって、シリーズ以外で書きたいものが書けるようになった」と言われていました。 確かに、シリーズもので売る戦略だけでは「All You Needs Is Kill」も「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」も なかったでしょうね。 それが商業的に成り立たなかったらどうしようもないですが、 桜坂さんも桜庭さんもシリーズ以外の単発作品で注目を集め、仕事が増えているのですから、 各レーベルともシリーズで売ることにはこだわらないで欲しいものです。

 16日の企画はこれで終了。
 この後、ロビーで「ライトノベル・ファンパーティー」などでお世話になっている 有里さん、一歩さんとお会いすることができました。 CGIについていくつかお聞きすることができました。ありがとうございます。

 翌17日、受付で榎本秋さんに怒られました。
 来るんだったら、色々用意するのだから事前に連絡するようにとのこと。済みません。

[ライトノベル作家座談会 〜僕たちメッタ切りにされちゃいました]17日10時〜11時半
司会:水野良さん、出演:浅井ラボさん、賀東招二さん、榊一郎さん、新城カズマさん
 ほおって置くと愚痴の出し合いになるところを水野良さんが仕切る形で進行。 新城カズマさんは開始早々「(ライトノベルを)スーツを着た人が注目し始めるとまずい」と際どい発言をされていました。
 「ライトノベル」という呼称については、浅井ラボさん以外全員違和感を持たれているものの、 総じて「ここまで広まっちゃったんなら『ライトノベル』で別に良いんじゃない?」 「『ライトノベルブーム』なんて言われているけど、作るほうとしては何も変わらないよ」 という感じだったと思います。
 途中、賀東招二さんがマイクを持っておもむろに何か発言するのかと思ったら、 絶妙のタイミングで榊一郎さんにマイクを押しつける。 榊一郎さんもおどけてびびって見せる。息が合ってます。(笑)
 質疑応答で「ライトノベルと既存の小説の手法の違いは?」という質問が出た際、 賀東招二さんが「リアリティの操作」と答えられていました。 例えば「フルメタル・パニック!」ならば、短編(陣高編)では爆弾が至近距離で爆発しても誰も死なないが、 長編(ミスリル編)ではそういう訳にはいかない、と。 なるほど、確かに普通の小説ではない書き方ですよね。 ちなみに同じ理由からボン太くんの長編登場はないそうです。 水野良さんは「(その作品世界の)ゲームのルールに基づいて書いている」、 浅井ラボさんは「演出の上げ下げを数値化して考えている」、 榊一郎さんは「イラストが入ることを意識して書いている」と答えられていました。
 「『されど罪人は竜と踊る』が神奈川の某学校図書室で閲覧禁止になった」ことについて コメントを求められた浅井ラボさんが「やったぜ!」と答えると会場は拍手喝采。(笑) そのあと、新城カズマさんが「ライトノベルを純真な子供から守ろう」と繋いでバカ受けしました。
 「レーベルによる違いはあるのか?」という質問に対しては、 賀東招二さんが「角川スニーカーが陸軍、電撃は空軍、富士見ファンタジアが海兵隊」と答えられ、 会場がまだ爆笑。「空軍はかっこいいから人気があるが、占領するには陸軍も必要。 そして海兵隊は最後まで戦場に残るのが役目」とのことです。 水野良さんと新城カズマさんも「富士見書房はライトノベルしかないから、本気度なら富士見です」 とコメントされていました。

[ライトノベルの包み方 〜編集者に聞くライトノベルのカバーデザイン〜]17日12時〜13時半
出演:小浜徹也さん(東京創元社)、野崎岳彦さん(角川スニーカー文庫編集長)、竹内一詔さん
 企画当初はいくつかのレーベルの方をお呼びするはずだったのが 「仲が悪いから」という理由でスニーカー文庫だけになったとか。良いんですか、そんなこと言われて。
 開始前に「この中にプロの作家やイラストレーターの方はいませんよね」と断わりが入っていましたが、 きっとプロの方もいらっしゃいました。(笑)
 初めに創元社の「普通の本」のデザインを紹介し、次にスニーカー文庫を出して比較し、 ライトノベルの装丁がどういうところで普通の書籍と違うかを分かりやすく解説。 「涼宮ハルヒ」や「ムシウタ」などを例に表紙の構図、字体、色刷りから、 帯、キャラクターデザインに関わることまで幅広いお話を聞くことができました。

涼宮ハルヒの暴走
ムシウタ 05.夢さまよう蛹
the Sneaker (ザ・スニーカー) 08月号
表紙画像のリンク先はAmazonです。

 私が特に「へぇ〜」と思ったのが「ムシウタ」で使われたという「特色刷り」でした。 「ムシウタ」のタイトルや著者名に使われているのがその「特色刷り」です。 これをやると、通常印刷機を4回通せば済むところを5回通さなければいけないため、印刷費がかさみます。 しかし「ムシウタ」の表紙をデザインしていた時、どうしても4色刷りでは雰囲気が合わなかったのだそうです。
 この特色刷り、雑誌ではよく使われている方法でして、 その結果「ムシウタ」の表紙のデザインは雑誌の方法論に近いものになったとのことです。 上に4色刷りの文庫「涼宮ハルヒ」、特色刷りの文庫「ムシウタ」、特色刷りの雑誌「ザ・スニーカー」を 並べて見ましたので、その色使いを比べてみてください。
 また現在のスニーカー文庫では、イラストレーターの選定では作者の意見も一応参考にする、 個々のイラスト・デザインは作家を通さない、 イラストレーターとデザイナーは別の人にやらせる (イラストレーターは得てして自分のイラストがどうやったら映えるか分かっていない)、 キャラのイラストイメージを上げるために服やアイテムの設定を変更させることがある、とのことです。 これらはレーベルによっても違うでしょうし、編集長の方針で変わったりもするのでしょう。
 そして驚いたのは、本文とイラストの作業が同時進行 (大きな声では言えないが、時間の掛かるカラーイラストではよくあることらしい) で、内容が食い違ってしまった場合、 イラストの出来が良ければ本文を直させることもある、と言われていたことです。 野崎岳彦さんは「今は大抵デジタルなのでカラーイラストも『ちょいちょい』と直せますが」 などと結構微妙なことを言われていましたが、 ライトノベルのイラストはあながち本文の付属物とは言えないようです。

[ライトノベルニューウェーブチェック]17日14時〜15時半
出演:榎本秋さん、極楽トンボさん
 極楽トンボさんは「15人くらいしかこないんじゃないか」と言われていましたが、 50〜60席の会場は立ち見の人があふれ、配布資料が足りなくなってコピーで2回も追加する盛況ぶりでした。
 全体の概要を榎本秋さん、個々の注目すべき新作の紹介を極楽トンボさんがしていく形。 何十冊も紹介していく極楽トンボさんは満員の参加者を前にさすがに緊張気味で、 それを最前列に陣取ったタカアキラさんがフォローしながら進行していきました。
 出演者、参加者双方からコアな発言が飛び交い、 途中で六塚光さんから「是非『タマラセ』も紹介してください」とツッコミが入ったり、 「アシャワンの乙女たち」と「バロムワン」の関係について山本弘さんの豪華解説が入ったり、 三村美衣さんが「私が居るのは気にしないで下さい」と扉の影に隠れていたり、楽しいセッションでした。

 全ての企画が終わった後、ロビーで極楽トンボさん達としばらくおしゃべりをしていましたが、 プロの方々が周りを闊歩しているのであまり迂闊なことは口にできませんでした。(爆)
 その後「最後の授賞式くらい見よう」ということでメインホールへ移動し、 「暗黒星雲賞」以降の授賞式を見ました。 「暗黒星雲賞」はブラックユーモアあふれる面白い賞ですね。 最後に出てきた野田昌宏さんは、誰からも愛されるおじーさんという感じの楽しい方でした。

 そして当日大変お世話になりました有里さん、一歩さん、極楽トンボさん、榎本秋さん、 ご迷惑ばかりおかけして申し訳ありません。 次の機会がありましたらもっと計画的に行動いたします。(汗)

 なんだか内輪受けのレポートになってしまいましたが、 よろしければまた次回もお付き合いくださいませ。
 では。

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