幻想大陸聖伝 テバジャ

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――第一章――
再会
 
「リ−セ!リ−セ!お客さんだよ!お・客・さ・ん!」
「はあ−い。今行きまあす。」
俺、リ−セ。テェ−ンエイジャ−最後の19歳。 自慢の金髪に青い瞳のナイスガイ(自称)。 何でも屋ハイヤ−にいる。冒険者6年目のベテラン。なんだけど・・・・・・
「あれえ、リ−セに客なんてひっさしぶりじゃん。 そうねえ1年ぶりかな。ねえレベル10のリ−セくん。」
「うるせえ。半年ぶりだ。ばか!」
このうるさいのはアリス。俺の相棒。レベル19。 俺と同期で同じ仕事をしていながらレベルにこんな差があるのはある物のせいだ。
「あんたにもあればよかったのにね、『マグナ−シュ』」
マグナ−シュとは紋章みたいなもの。これがあると魔法が使える。 生まれた時からあるらしく、ざんねんながら俺にはない。 ちなみにアリスは火属性のマグナ−シュをもってるのだ。 最近はかなり人数が少なくなってきてしまったらしい。
ちくしょお、なんで俺にはないんだよお。
「リ−セ早く来なさい。お客様がお待ちです。」
この人はアルザ。この店の店長だ。銀色の髪の神秘的な人。
「はあい。」

俺は店に入る。
お客は椅子に座っている。
きしゃなからだに金色の髪、青の瞳。
まさか、
俺はおどおどしながらきいた。
「あのおう俺に御用でしょう・・・・!」
     ばっっ
俺が言うまに彼女が俺に抱きついてこういった。
「私の子、リ−セなのですね。リ−セ、会いたかった。どのくらいこの時を待っていた事か・・・・・」
ちょっとまて、うそお

次回予告。
リ−セに語られる伝説と幼き思い出。
リ−セはどう受け止めるのか。
次回『思い出』
     人間は何のためにいるのか・・・・・・


思い出
 
「ちょっと、なっ、そっ、そんなことあるわけ・・・・・・」
俺の言葉を遮って女の人は自分の話を続けた。
「そうですね、あなたと私が離れ離れになってからもう18年ですか。大きくなりましたね。」
「なっなんでだよ、俺があなたの息子なわけないじ・・・・・・」
だってこの人どうみても22、3歳。俺が18歳だから・・・・・・
んなわけないじゃん。
「いいえ、あなたは私が16歳の時の子供。」
へ?というと、この人は・・・・・・34歳!?
「長い間ほったらかしにしてすみませんでした。 私はあいつらからにげることで精いっぱいでしたから。 でもやっと逃げ切ることができて・・・あなたがあいつらに見つからなくてよかった。」
するといつのまにか出てきたアリスが言った。
「へえ、この人がリ−セのお母さん?ふうん似てるじゃん。」
え?似てる?俺とこの人が?
「へ−本とに似てますね。特に最近では少なくなってきている金髪とその白い肌が。」
おいおい。あんたの銀髪の方がめずらしいよ。
俺が目を少しずらして隣にいるアルザをみた。
そのときアルザの瞳が少し輝いて見えたのは気のせいだろうか。

ったくしょうがねえ。今はこの女の人を信じることにした。じゃねえと話が進まねえからな。
「私がここに来た用事というのは、これからおこりえることを伝えたくて。」
これからおこること?
「私のかけた魔封じの呪文もだいぶ薄れてきてしまったようです。 きっとあいつらがあなたを連れ戻しにくるでしょう。でも絶対に捕まらないでください。 なんせあいつらは・・・・・・」
「魔族だから、ですか・・・」
「!!」
女の人は驚く。
「どうしてそれを・・・」
「だってそんなことしそうなのは魔族ぐらいでしょう。」
きっとそれは偏見だぞ。ラムザ。
そのとき

カタン

俺のロケットがおちた。
これは俺が生まれた時からしていたといわれたものだ。
(ちなみに俺は孤児だから孤児院の先生からきいたのだ)
「へえ、ロケットじゃない。見せて見せて」
そういえば最近見ていなかったな。

カチャ

「!!」
「!!」
「うそだ・・・・・・」

「そんな馬鹿な・・・・・・」
ロケットの中の写真に入ってるのはまだ赤ん坊の俺と見覚えのある女の人。

「うっひゃあ〜」
アリスが声を上げるのも無理はない。 なんせこの女の人は目の前にいる俺の母親と名乗る人にうりふたつだからだ。
しかも見た目はあい変わらず22、3歳。
「わたしとあなたが一緒にいられたのはたったの二ヶ月間でした。 あいつの、ギャラクシイの追手からあなたへの目をそらせるために逃げました。」
「なぜあなたは年をとらないのですか?どうみても若く見えるという限度を超しています。」
「それは・・・・・・」
「それは神族だからですよリ−セ。」

「なっなに言ってんだよ、ラムザ。神族って幻想戦争でほろんでんだろ。」
「そうよ、ほろんだとまでは言わないけどもう殆ど見かけない珍種よ。」
「灯台下暗し。」
ぼそっと一人で呟くラムザ。
一体何だってんだよ、いつものお気楽ラムザじゃない。
その時

ドクン

何なんだろう。
心の中に二つの膜がはっている。
その1つが激しく鼓動する。

ドクン ドクン

体中の力がここに集まったように、
(開けてはいけない、開けてはいけない)
そう心の底から聞こえてくる。
(もうすぐ膜が破けてしまう。この膜が破れたら・・・・・・が起こってしまう)
よく聞き取れなかったが何かを訴えている。
何が起こるんだ?


発動
 
「リ−セ、リ−セ。大丈夫?顔色悪いよ?」
「ああ、大丈夫だ、めまいがしただけだ。」
「そう、ならいいんだけど。」
アリスがいつもと比べにならないほど優しい。
きっと俺に気をつかっているんだろう。

「それにしても・・・・・・!!」

バタン

「やっと見つけたぜ、リ−セ様。」
「バルジェスナ!!」

「誰だ!」
「おや、お忘れですか?この魔族七人衆の一人バルジェスナを」
魔族!?
「リ−セ逃げて!」
俺は裏側の裏口へ向かった。
バルジェスナは俺を追いかけてくる。
レベル10の俺が魔族にかなうわけない!!

ガチャガチャ

扉が開かない!
「あたりまえだ。この魔族3人王のひとり、フオッグ様の手下の
魔族七人衆にかなうはずがない。」
後ろからじわりじわりと近寄ってくる。
「みんなどいてください!」

"神神の白き吐息
ここに結晶し
我が前に立ちふさがりし
愚かなるものに
天罰を加えよ”

「ホワイト・ブレス!!」

これは神のみ使えるといわれる魔法
「神聖魔法!!」

「神聖魔法ですって!?」
アリスが信じられないと言う様な顔をした。
まさか、本当に神聖魔法なのか!
ということはこの人はやはり神族!?
そして俺も・・・・・・

金属製の扉は粉々になっていた。
それほどの破壊力なのか!!
−−神聖魔法−−
魔族の使う闇魔法の神族版。
ちなみに光魔法ともいう。
まあ人によって言い方が違うのだ。
神族しか使うことができない
巫女や神官が使うのは白魔法といい神族から力をかりたものだ。 魔導師がつかえるのは黒魔法で魔族から力を借りるもの。
しかし契約を結ばねばならず手間がかかる。

           だだだだだ

俺達は裏道へ出る。
さすがに表通りへ出るわけにはいかないので街を出る方向へ走った。
ラムザ、アリス、俺、母さんの順に逃げて行く。
十分くらい全力で逃げていた時、一番後ろを走っていた母さんが叫んだ。
「キャア!」
俺は走るのを止め後ろを振向くと髪を引っ張られていた。
「母さん!!」
「リ−セ、逃げて!!」
「そんな」
「まずはお前からだ!!」

「"我に眠りし 炎の力
  今封印解き放し
  その力 
  我の前に示せ

  封印解除(レ・リ−ズ)!!」

ゴウウウウウ

アリスの右手から炎が出る。
「お前らの相手はこいつだ!!」
バルジェスナの回りにモンスタ−が集まる。
俺を通り越しアリスとラムザに向かう。
「チッ」
アリスはしょうがなくモンスタ−を倒すことに専念する。
それにロングソ−ドをかまえたラムザも加わった。
「母さん!!」
「いいから逃げて!あなたが捕まったらこの世界は魔族のものになってしまう!!」
「逃げるなんてできないよ!」
「リ−セ、あなたさえ、あなたさえ逃げてくれれば神族にも勝機が・・・」
どうしちまったんだよラムザまで。
俺にもアリスのようなマグナ−シュがあれば!
ラムザの様なパワ−があれば!!
「死ねええええ」
バルジェスナが母さんに剣を振り上げたその時だった。

         パリン

俺の中の膜の一つが壊れた
全身に力が駆け巡る
そう
聖なる力が

「まさか
 こんなときに覚醒するなんて・・・・・・」
「リ−セ・・・・・・」
「リ−セ、あんた・・・・・・」
「・・・・・・」
俺は答えない。
フィィ・・・・・・ン
俺の右手に白い球体が現れた
「やめ、やめろ・・・・・・」
「ずいぶんと潮らしいな、バルジェスナ」
バルジェスナがうろたえているあいだに母さんは逃げた。
俺は右手の手のひらを奴に向けそして開いた。
「ひいい」

           ドガ
           シュウウウウ

白い球体はバルジェスナにぶつかり、
そして球体がはじけると同時にバルジェスナはまるで塵のように消えた。

「リ−セ・・・・・・」

                                 第一章完


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