「どういうことか説明してくれる?」
アリスが聞く。
店に戻った俺達はコ−ヒ−を飲んで一息ついた。
「全く解んねえよ。何で俺に魔族が絡んでくるわけ?
あと、あの俺の力。どう考えてもマグナ−シュじゃねえよな」
あの時
満ちてくる力を感じる
その充足感と
万能感・・・
力の行使に伴う あの
開放感
そしてあの興奮・・・・・・
「どういうことなんだ。」
「それに関しては私から話します。」
べつにラムザに話したわけじゃなく独り言だったのだが・・・・・・
「それでいいですよね、ティ−ンさん・・・・・・」
「どういうことだ、バルジェスナが敗れるとは・・・・・・」
「はい。やはりバルジェスナのような七人衆の末席のようなものには任せられません。」
「そうだな・・・・・・」
漆黒の部屋の中央にある玉座に座っている一人の少年が答える。
重い空気が当たりに広がっている。
「ぜひとも私に、お任せを。」
「そうだな。お前なら安心だ。次はお前が行け。」
「ありがたき幸せ。」
「くれぐれも殺すな。痛めつけてから連れてこい。俺が痛めつけてやるんだからな。」
「御意」
シュッ
少年は独り言のように呟いた。
「魔王は俺だけで十分だ。なあ親父。」
少年の手に小さな赤ちゃんの写真が握られている。
ぼっ
写真が燃えて少年は燃え滓を投げ捨てた。
「はは、はははははは・・・・・・・」
「ええ」
ラムザはコ−ヒ−カップを持ち上げ一口飲んだ後話しはじめた。
「はるか昔のこと。神族対魔族の戦い、俗に言う幻想戦争は相打ちの形で終わりました。
力を失った両族は和平をし、力を貯えることにしました。
和平の内容は神族は今後1000年間自分達に手を出さないこと。
魔族は、魔王が相当な女好きだったので神族一の美女をもらうこと。
神族一の美女とは神王の一人娘『ティ−ン』だったのです。
彼女はもう既に一人の子持ちでした。
断ってもいいのですが、断ると和平決裂。でも闘うとこれ以上被害がでる。
泣く泣く彼女は魔王に差し出されました。
そして強引に長い年月をかけて一人の子が誕生しました。」
「まさか、それが、俺?」
「と言うことはこいつって魔族と神族のハ−フなわけ?」
アリスが俺を指して言う。
でも俺の方は見ない。
「そういうことになります」
俺が魔族と神族のハ−フだなんて。しかも魔王と神王の・・・・・・
「んじゃあこいつってすごく強いんじゃ・・・・・・」
「ええ。だから魔族もリ−セのことを狙うのです。リ−セの力を我が物に知ようと。」
と、ラムザが言う。
そんな、俺が・・・・・・
「んで、あのリ−セの魔法は何?」
「おそらく神聖魔法でしょう。あのバルジェスナが、あんなにあっけなく倒されるくらいなんですから」
「ふ−ん」
俺に神聖魔法が使えるのか?そうしたら闇魔法も・・・・・・
いや、そんなはずはない。そんなはずは。
「俺は人間だぜ。魔族でも神族でもない。人間なんだ!」
「・・・・・・」
「リ−セ」
「まあ、これ以上、この街にはいれないでしょう。
力を利用されたくなかったら逃げなくてはならないのですから。」
ラムザは椅子から立ち上がり、書棚から地図を取り出し広げて言った。
「でも何処に?逃げる場所なんてないわよ」
みん・・・な・・・?
「俺と一緒にいてくれるのか?」
くすっ
今まで俺を見ようともしていなかったアリスが微笑んだ。とっても優しく・・・・・・
「あたりまえでしょ。仲間なんだから。」
アリス・・・・・・
「それではここがいいかもしれませんね。」
え?
ティ−ンが地図のある一点を指した。
「太陽の神殿、アムネスティ・・・・・・」
第二章完
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