幻想大陸聖伝 テバジャ

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――第三章(一)――
帰らぬ歌
 
−太陽の神殿 アムネスティ
その名の通り太陽神(リ−セの祖父)を崇める神殿である。
カグヤからほぼ南に3時間程行った砂漠に存在する。
その神殿は選ばれしもの、もしくは入るのを許されたもののみ入ることができる。

俺達はあのあとすぐにカグヤを出てアムネスティを目指した。
もうそろそろ日が頭のてっぺんまで昇る頃だ。
「もうや−。もう三時間歩いてんだし休も休もうよ−」
アリスは座り込んでしまった。
アリスは一度こうなったらもう一ミリ足りとも動かない。
「ったく、じゃあ休んでろよ。俺少しあたりを見てくる。」
「あまり遠くへいかないでくださいねえ−」
俺は子供じゃないっての。

俺は十分ほど歩いたら地平線に白い物がぽつんと見えた。
もしかして!!
俺はその白いものに向かって走って行く。
15分くらい走っただろうか。
そこは神殿だった。
し−んと静まっていてとてもきれいだ。
どうしてここだけこんなに涼しいんだ?
大理石で作れたような壁はひんやりして気持ちいい。
まさかここがラムネスティ?
可愛い女の子が白いロ−ブを着て掃除をしている。
俺は木に隠れた。
よし、アリスたちもよんでこよ。
俺がアリスたちを呼びに行こうとしたその時だった。

バキッ

やっやべえ。枝が折れやがった。
見つかるか?
「誰です!」
やっぱしい〜

このままでていいものなのか、俺が迷っている間に女の子はこっちにずんずん近づきてきた。
背丈はだいたい160センチ。黒いロングの髪を上で結っている。
俺は逃げようと思ったが足が動かない。
「無駄ですわ!あなたには組縛の術をかけましたわ!」
まじでヤバイ。

ガシッ

「何か言いなさい!でないと・・・・・・」
無理だよ。組縛の術かかってんだから。
「やめなさい!リリ−」
さっきこのリリ−とかいう女の子のいた所に同じ白のロ−ブを着た女の人がいた。
「そのお方は私達にとって大切なお客様。そうですよね、リ−セさん。」
「えっええ」
どうして俺の名を。
「まあとりあえず中へお入り下さい。」
「あっでも連れがいるので・・・・・・」
「まあそれはいけませんわ。この暑さですもの。大変ですわ。早く使者を出しましょう」
「ええ、ありがとうございます」
「さ、あなたは中へ」
神殿の中はますます涼しかった。
俺はマントをとり、女の人に付いて行く。
リリ−とかいう女の子も付いてくる。
長い回廊を5分ほど歩いたところは応接室のような部屋だった。
「お座り下さい」
「え?あっはい」
「ほらリリ−も」
「はい」
俺はソファに女の人の向かい側に座りリリ−は女の人のとなりに座った。

「私はメアリ−。この神殿の巫女長です。この子はリリ−。巫女です。」
リリ−という女の子はお辞儀をした。
「はじめまして。リリ−です。先ほどはすみませんでした。リ−セ様とはしらず・・・・・・。」
「いや、こちらこそ。俺はリ−セです。すみません。忍び込むような真似をして。」
俺は出された紅茶を一口のみ、一息ついて、たずねた。
「いきなりで失礼ですが、ちょっと質問をしてもいいですか?」
「ええ、どうぞ。」
「この神殿は普通の人には見えないといわれています。どうしてそんなことを? それとなぜ俺には見えたのでしょう?」
「それは来る日のため。伝説のテバジャ、あなたのためにこの神殿は存在しているの。 あなたを助けるために。」
「俺のため?テバジャとは何なのですか?」
「テバジャ、それは再生の戦士のこと。国の滅びる時に必ず現れ、一度全てを破壊し、そして再生する。 その人のことをテバジャと言うのです。」
「破壊者!?」
「いいえ、破壊者ではありません。再生者です。」
まさか俺はそのテバジャ・・・!
「俺はテバジャなんですか?」
「ええ。それも伝説の・・・・・・」
!!!!!!
「いやだいやだ。俺は普通の人間なんだ!人間なんだ!」

ばっ

俺はソファから立ち上がって、
向かい側にあった庭に駆け込み、
一番大きい木に攀じ登った。
「リ−セ様、待って!」
リリ−が追いかけてくる。
追っかけてくんな!!
とは、流石に言えない、か・・・・・・
リリ−が俺のいる木に登ってきた。


帰らぬ歌−月光−
 
「リ−セ様。戻りましょうよ。」
「い・や・だ。」
俺達は庭で一番大きい木に登り、ぼお−っとしていた。
もうあれから3、4時間くらいたっただろうか。もうだいぶ日は西に方むいている。
もう11月だもんな・・・・・・
日が沈むのも早い。
アリスたち、どうしたかなあ。この神殿に来ていることは確かだろうけど。 でも会いに来ないのはきっと俺に気を利かせているからだろう。
「リ−セ様やっぱりショックなのですか?伝説のテバジャだったてこと。」
「・・・・・・・」
テバジャ、破壊と再生を行う戦士のこと・・・・・・
俺は? 伝説の?
「なあ・・・・・・」
「?」
「普通のテバジャと伝説のテバジャってどう違うんだ?」
「再生する規模が違うのです。 伝説のテバジャというものは世界を革命する力を持っていると言われています。 生まれる確率は十億年に一人。神や魔をも超越した力を持っている。 すなわちこの世界の創造主にも値する力を持っているといわれています。」
「創造主?」
「ええ、神をも魔をも越えた力を持っているのは創造主しかいませんから・・・・・・」
「・・・・・・」
もう日が沈む。
夕焼けがきれいだ。
「俺、この前までは普通の人間だったんだ。普通の、どじで間抜けなリ−セで・・・・・・」
「でも、そんなものではないでしょうか。みんな。私だってそうですもの。 巫女の力があるといわれて無理矢理ここに連れて来られて・・・・・・」
そう、かもしれないな・・・・・・
みんな、自分ですらしらない事を言われて、戸惑って、他人に支えられて、
だから俺達生きてこれたんだ。
アリスも、マグナ−シュに目覚めた時、こんな感じだったのだろう。

夕日はもうすっかり沈み、もう辺りはだいぶ暗くなってしまった。
砂漠は冷える。もうだいぶ寒い。
「夕日、沈んじゃいましたね。」
「ああ・・・・・・」
俺は木に登った時に付け直したマントをリリ−にかける。
「あ、笛ですか?」
リリ−は俺のマントの後ろに入れてあった笛を見つけてしまった。 リリ−は笛を俺に渡してこういった。
「ねえ、笛、吹いてくれませんか?一度でいいですから。」
「え?ああ。」
ピイ−ピピピ−
「うわあすごい・・・・・・あれ、やめちゃうんですか?」
「くくく、はははははは!」
「何が可笑しいんですか。」
「ははははは!」
素直に喜ぶ姿と、膨れる頬が可愛くて。
思わず笑ってしまった。
「初めて私の前で笑いましたね・・・・・・」
「え?」
そうだ、俺、彼女の前で笑ったの初めてだ。
「ねえ、降りましょうよ。リ−セ様」
「ああ。そうだな・・・・・・」
まず俺が降りる。俺は彼女に手を貸す。
「ほら。」
「きゃあ。」
彼女は木から落ちてしまった。
俺は彼女をだきとめる。
ドキン
彼女の顔は真っ赤だ。
「えっあ、ありがとうございます。」
「あっうん・・・・・・」
彼女は慌てて俺の手から離れる。
リリ−は俺の後ろを歩いてくる。
「なあ。」
「何ですか?リ−セ様」
「俺のこと、様ってつけんなよ。」
俺は照れながら言う。
「でも・・・・・・」
「つ・け・ん・な・よ。」
「・・・・・・はい!リ−セ!」


帰らぬ歌−灼熱のココロ−
 
あづい・・・・・・あづすぎる・・・・・・
このエレガントでか弱いアリス様にはきついわ・・・・・・
ラムザとティ−ンさんは私に気を使ってくれるけど、リ−セは私なんか知らん顔。
リ−セ!あんたと私じゃ体力っつうもんが違うんだからね!
足がもつれてきた。
もう・・・だめえ・・・
「もうや−。もう三時間歩いてんだし休も休もう」
砂漠の砂の重さや、日差し、暑さのせいでもう足が動かない。
どさあ。
「ったく。じゃあ休んでろよ。俺少し辺り見てくる。」
今回は本当につらいんだぞ。本っとお−に!!

リ−セが行って、20分程したら、足はだいぶ楽になった。
「リ−セさん、遅いですねえ」
確かに遅い。すぐ帰ってくると思ったのに。
足も痛かったけど何より、日差しが強くて。
頭がもうろうとして・・・・・・

ドサッ

目の前は真っ暗。
もう限界だあ・・・・・・
「アリスさん!」
「アリスさん!」
うう、なんか遠くで声が聞こえてるう〜

「アリスさん・・・アリスさん・・・」

ば!!

目が覚めたら、そこは白い建物の中だった。
石つくりの、とても涼しい・・・・・・
「アリスさん、大丈夫ですか!」
「んん・・・・・・」
「良かったあ。いきなり倒れたからどうしたかと思いました。
僕、食事もらいに行ってきますけど、部屋から出ないでくださいね。」
ラムザは部屋を出る。
ここは何処なの?
大理石でできた壁・・・・。
神殿?
かけてあるマントをとろうとする。
目の前にあった鏡に私の姿が映る。
茶の髪、目。ジプシ−の様な赤い服。(胸あてとズボンだけ)
黄色のイヤリングに、金の細い腕輪が足、手に三本ずつ。
赤い靴。
何で私がこんな恥ずかしいかっこしてるのか分かってるの?リ−セ。
あいつきっと何にも分かってないだろうけどな・・・・・・

私はまたベットに寝っこがる。
寝るわけでもなく−−

あいつと私が出会ったのは12歳の頃。
冒険者テストの時、ぶつかって、喧嘩して、就職先で再会した時はびっくりしたっけ。
それから、パ−トナ−になって、いろんな仕事をこなして、六年間一緒にがんばってきた。
あいつはマグナ−シュマスタ−である私を、他人の目から見ても明らかなほど、嫉妬していた。
ひたむきに私を追い抜こうと。
でもね、あなた、とっくに私を追い越していたんだよ・・・・・・
そして、私は、あなたのそのひたむきな姿を、好きになった


夢、か・・・・・・

くすっ
懐かしいな・・・・・・あの頃が・・・・・・
私は寝返りを打つ。ランプのとなりに食事がある。
かぼちゃのス−プにパン。フル−ツ入りのサラダ。
もう、ス−プは冷たい。
窓を見ると夕日が沈みそうだ。
何時間、寝てたんだろう・・・・・・
私は起き上がって、ベットから降り、
部屋を出て、ラムザを捜す。
砂漠は、冷えるな・・・・・・
静まった神殿に、一部屋だけ、話し声が聞こえる部屋がある。
あそこ、かな?
すると、別の方から話し声が聞こえた。
向かい側の庭からだ。
男の声と女の声。
そのときだった。

ピイ−ピピピ−
この笛の音はリ−セの!
あいつはいつもマントの中に笛を隠し持っている。
私がそれに気付いたのは4年前。
一人で店のうらで吹いていた。
悲しそうに・・・・・・
でも私が吹いてと頼んでも吹いてはくれなかった。
それを、今、なぜ・・・・・・
笑い声が聞こえる。


私は呆然と立っていた。
そうしたらリ−セと女の人は木から降りて、
にぎやかな部屋に入っていった。
私は思った。

私がなぜこんなことに首を突っ込んでいるのか知ってるの?
私は、あの時、本当は逃げ出したかった。
怖くて・・・・・・
でも、リ−セといたかった。
いつまでも、リ−セの片腕になっていたかった。
頼ってくれていて、うれしかった。
でもあいつは神の力を手に入れたから、
もう私の力は要らない?

私はリ−セが砂漠でいなくなったとき、
ティ−ンさんからリ−セが伝説のテバジャだときいた。
伝説のテバジャ、それは一般の人でも知っている。
世界を再生するもの。
あいつが世界を再生してしまったら、
私はリ−セと一緒にいられなくなる。
いやよ、それだけは。
私の力はもう要らないのならば、
一緒にいられない。
一緒にいさせてくれない?

断られるのが怖い。
拒絶されるのが怖い。
「もう、お前なんかいらねえ。役立たず!」
そう、言われたくない!
でも一緒にいたらいつかは言われてしまう。
一緒には、いられない・・・・・・


どうしても一緒にいられないのならば、
せめてあいつの心の中にでもいたい。
おもいっきり、強烈に、心の中に刻み込めるもの。
そうだ!
あれをすればいいわ!
あれをすればあの人はきっと、
自分を責める!
そうすれば私の事も気にしてくれる!

私は砂漠に出る。
南に向かって走る。
南にはあの砦がある。
何としてでもあの人の心の中にいたい。
そのためならば、この姿も捧げます・・・・・・


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