幻想大陸聖伝 テバジャ

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――裏第三章――
大鎌女(アリス)
 
私は走る。
砂漠を。
何処までも。
南へ。
南へ。
何処まで走っても、
砂と星ばかり。
無数の星が散らばっている、
あの広い空。
暗く光る星が、
淋しそうに瞬いている。
まるで私みたいに。
自信がないの。
何をするのも。
いつも偉そうなことしてるけど、
本当はすっごく自信がないの。
私はあなたが羨ましかった。
自信があるというような、
屈託の無い笑顔。
私には出来なかった。

私の生まれはお金持ちの家だった。
何をするにも恵まれていた。
上に姉が一人いた。
名はクリスといった。
年は10近く離れていたから、
私が物心ついたころにはいなかった。
母やばあやはとても美しい人だったと言っていた。
勉強も運動もすべてよくできた人だったらしい。
だから私はいつも比べられた。
唯一の姉、クリスに。

だけど5歳のころ、
あいつと出会ったのだ。
リ−セと。
一人で母にしかられて泣きながら、
来た花畑。
私だけしか知らないはずだった花畑。
そこに一人の男の子がいた。

もらった金のブレスレット。
私の宝物なの。
初めてした時、
目覚めたの。
マグナ−シュの力に。
私さっき気づいたの。
炎の力の素は、
「愛」の力だってことに・・・

もし私の「愛」の感情がなくなったら・・・?


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