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――余章―― |
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買い物 |
「全く、お前がそんな格好をするとは考えても見なかったぜ。」 ケインとの話が終わった翌日、アリスは俺を買い物へ連れ出した。 「だって、これからの闘いに備えて新しい装備品欲しかったんだもぉん。」 「装備品といったって、防具とか、武器も一新しただろ。かなり金かかったんじゃねえか?」 「だって、この服、マグナーシュの効果半減するし、この武器はかなり軽いわ。 この髪飾りと宝珠(オーブ)はマグナーシュの効果を倍増するのよ。」 「だからって、そこまで雰囲気変える事無かったんじゃねえの?」 アリスはかなり服のイメージを変えた。 ディープブルーで、黄色のラインの入ったレオタードらしきピッチピチの防具 (これは果たして防具というのだろうか)。 トゲトゲの宝石の付いた髪飾り。額と胸とブーツについている宝珠(オーブ)。 肩当てがすんごく派手なマント。布性のブーツ。左足の腿に付けているナイフ。 イメージが180度反対だ。 「このナイスバディ(死語)にはこのくらい派手じゃなくちゃ!」 アリスが結構プロポーションが良いのは分かるが何もここまで。 「でもさ……」 「なによぉ、リーセだって剣買い替えたじゃない。人のこと言えないわよ。」 そうなのだ。俺は剣を一新した。ショートソードではなくナイフに。 「だってさ、俺剣の使い方あまりうまくないし。第一、俺一応シーフなんだぜ。鈍いけど。」 ナイフとはいってもナイフの持つところの末端にピアノ線がついている。 ナイフとも使えるし、ピアノ線でも絞め殺せる。 そして飛び道具としても使えて、まさにこれこそ一石三鳥! 「明日、出発だぜ。貸し切りの船だから、楽できるな。」 とはいってもホントは他の人を巻き込みたくなかったからなんだが。 「そうね、何も無いといいわね。」 そう呟く。 「元気出せよ。」 「何を?」 俺はアリスの肩に手を回す。 「新婚旅行らしき旅に、余計なやつまで付いてきて怒ってるんだろ。 ごめんな。俺がしっかりしていなくて。」 「ううん。違うの。リーセをからかいたかっただけ!。」 そう言って、舌を出して逃げる。 「おい、待てよ!」 俺は追いかける。 でも俺は知っているんだ。アリスがかなり不安そうな顔をしている事ぐらい。 夜、遅くまで起きている事も知っている。その事を切り出せないのは、俺に勇気が無いだけで。 俺はアリスを捕まえて、言う。 「安心してくれよ。俺が言うのもなんだけど、俺が居るからさ。」 「なによお、誰もそんな事……ひぃっく、ひっく。」 俺に抱きついてそう、泣きながら答える。 俺は、アリスを強く抱きしめる。 それは、まだ幸せの日々の事。これから、どんなことがまっていても、大丈夫なように。 俺は、今、幸せを存分に味わっていようと思う。そう、どんなことが起こっても……
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