ファンタジア文庫の枠を破れ

2005年2月27日

 申し訳ありません。前回から1年半も間が空いてしまいました。
 いろいろ手を広げ過ぎて、なかなかこちらに手が回りませんでした。(汗)

 今流行りのブログなどもやってみたいなぁ・・・とは思っているのですが、 既存のサイトの更新もままならない状態ではなかなか難しいです。

 と実益にならないことばかりも言っていられないので 時間を作って更新いたしました。はい。
 ではここを更新することは実益になるのか?という疑問は端に寄せておきまして(汗)、 今回は最近富士見ファンタジア文庫で起きている異変についてお話しいたしましょう。

表紙画像のリンク先はbk1です。

フルメタル・パニック! 戦うボーイ・ミーツ・ガール まぶらほ ノー・ガール・ノー・クライ
フルメタル・パニック!/まぶらほ

 富士見ファンタジア文庫の表紙デザインには―― 恐らくここに来られる方の多くはご存知でしょうが――共通のフォーマットがあります。 タイトル・著者・レーベル名は同じ位置に配置され、イラストはほぼ正方形の枠に収められています。
 最近は「ライトノベル」と呼ばれることの多い少年少女向け小説レーベルのなかで、 ファンタジア文庫のような共通フォーマットを持つものは少数派です。 しかしデザインとしては少数派でも、 商業的にはファンタジア文庫は長らく少年向けライトノベルレーベルの雄として君臨し、 同時にその表紙のデザインを堅持し続けてきました。

 ところが最近、そのファンタジア文庫の表紙に異変が起きているのです。

ご愁傷さま二ノ宮くん 1 ブラック・ブラッド・ブラザーズ 2 特区鳴動
ご愁傷さま二ノ宮くん/ブラック・ブラッド・ブラザーズ

 2004年半ば当りから、ファンタジア文庫の表紙イラストが、正方形の枠からはみ出すようになってきたのです。

 イラストが枠からはみ出す効果としては、やはりイラストの見栄えがするというものがあるでしょう。
 そして、創刊から15年以上が経過したファンタジア文庫の、 自らと読者に対する「これまでとはちょっと違うぞ」というアピールでもあるのでしょう。

 それはともかく、富士見書房の読者としては、こうした既存の枠からのはみ出しは、 どうしても他のレーベルの例を連想させるものとなります。
 そう、ファンタジア文庫の弟分、富士見ミステリー文庫の例です。

Dクラッカーズ 1 Dクラッカーズ 7−1
Dクラッカーズ 1/Dクラッカーズ 7−1

 富士見ミステリー文庫の表紙は創刊時、レーベル共通のフォーマットを持っており、 イラストも枠に収められていました。
 しかし売上の伸び悩みからリニューアル創刊を行なった際、このフォーマットを廃止しています。 (上の画像では分かりませんが、イラストは裏表紙にも続くようになっていて、なかなか評判が良いようです。)

 ではファンタジア文庫もミステリー文庫と同じ道を辿るのでしょうか? 17年間も続く、あのファンタジア文庫の枠に入った表紙イラストが、 ミステリー文庫のように枠を完全に破って表紙いっぱいになることがあるのでしょうか?

 実はもうなっています。(笑)

超能力はワインの香り
超能力はワインの香り
(この表紙写真は版権元の承諾を得ないで掲載しております。
版権元より抗議がありました場合、速やかに削除いたします。)

 じゃーん。(効果音)
 藤井青銅さん著/ものぐさずん(さえぐさじゅん)さんイラストの「超能力はワインの香り」の表紙です。 知らない方が見られたら、これはファンタジア文庫の表紙に見えないかも知れません。 でもれっきとしたファンタジア文庫なのであります。 ちゃんと左下に「富士見ファンタジア文庫」と書いてあるでしょう?

 この本の初版は1988年12月です。 つまり今から16年前に既に、ファンタジア文庫はイラストの枠を破っていたのです。 と、言いますか当時はまだレーベル創刊から日が浅く(ファンタジア文庫は1988年創刊)、 フォーマットが固まっていなかったと見るべきなのでしょう。
 (私が存じているのはこの本だけですが、他にもこうした枠なしの例があるかも知れません。)

 ファンタジア文庫の表紙イラスト枠は、最初から絶対のものではなかったのです。

 と、妙なオチを付けてしまいましたが、もう少しお付き合いを。
 ファンタジア文庫の表紙フォーマットでは正方形のイラスト枠だけではなく、 タイトルのフォント(字体)も変わってきています。

クロスカディア 1 ヴァロフェス 1 VS−ヴァーサス− File1
クロスカディア/ヴァロフェス/ヴァーサス

 基本はゴシック体であり、「超能力はワインの香り」でもこれが踏襲されています。 しかし最近は明朝体や他のフォントも柔軟に使われるようになってきているのです。

 今後、ファンタジア文庫の表紙はどう変わっていくのでありましょう?
 こうした見方も、ライトノベルの楽しみ方の一つだと思っております。

 それでは今回はこの辺りで失礼いたしまする。

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